No.4 相続シリーズ その四 相続放棄、限定承認の巻
第1巻第4号≪通巻4号≫
2000年 3月 1日
相続放棄、限定承認 の巻
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから、3ヶ月以内に相続の単純承認、もしくは限定承認又は放棄をしなければなりません。(民法第915条)
この期間中に限定承認、又は放棄をしなかったときなどには単純承認したものとみなされます。
単純承認は被相続人に属した財産上の一切の権利義務を無限に承継します。
限定承認は相続人が、相続財産と負債のバランスが不明とかの場合に相続は承認をするが、相続人自身の固有財産の提供でもって負債を処理するのを避け、被相続人から承継する相続財産の限度で被相続人の債務を支払うというものです。限定承認の申述は、必ず相続人全員がしなければなりません。
相続放棄は開始した相続に関しては、はじめから相続人とならなかったものとみなされます。
この放棄は被相続人の財産では債務を弁済しきれないことが、判明している場合に利用されています。
放棄は絶対的で、第一順位の相続人全員が放棄しますと、その相続権は第二順位へと移っていきますので、負債が多い場合はすべての相続人が相続放棄をしないと、とんでもない人が相続人となり不測の損害を被る場合がありますので、相続人間、親族間でよく連絡を取り合って放棄の手続きをすることが大切です。
相続放棄は限定承認と違って、相続人単独でできます。この手続は自己が相続人になったことを知ってから3ヶ月以内に被相続人が生前住んでいた土地の家庭裁判所への申述になります。(限定承認の申述も同じ)
その結果、全ての相続人が放棄をしますと相続人が不存在となって、後々の財産管理は家庭裁判所が選任した相続財産管理人が手続を行うことになります。それまでの相続財産の管理は自己の財産と同一の注意を以って管理しなければなりません。
相続放棄に似たもので相続分の放棄がありますが、これは相続財産に対する共有持分権に対しての放棄の意思表示で、一旦相続人となった後のことですので間違いのないように。
また祖先の系譜、祭具、墳墓の承継については、特別な規定(民法第897条)によって相続財産の対象からはずれていますので、限定承認、放棄の対象になりません。この承継者は慣習によってきまります。決まらない場合は、家庭裁判所が承継者をきめます。