ザ★地図
まず、土地・建物の表示に関する登記制度は、権利の目的物(客体)である土地・建物の物理的な状況を把握し、これを登記簿上に明確に公示するための制度ですが、究極的には土地・建物の特定を目的とするものです。
土地についてみますと、その土地を特定するために登記簿の表題部にその土地の所在、地番、地目及び地積が記載されていますが、その記載だけではその土地がどこに位置し、どのような区画ないし形状になっているかは現地で確認することはできません。
この土地の位置、区画、形状を表示するものが地図です。地図と登記簿とが一体となって、具体的な各筆の土地の位置、区画が特定されます。
ちなみに、登記簿での権利関係の記載は、所有権等に関するものは甲区に記載され、抵当権等所有権以外に関するものは乙区に記載されます。
★それでは、土地の位置、区画を特定する地図について説明します。
法務局備付けの地図の根拠は不動産登記法(以下「法」という。)第17条に「登記所ニ地図及ビ建物所在図ヲ備フ」,18条1項に「地図ハ一筆又ハ数筆ノ土地毎ニ之ヲ作成スルモノトシ各筆ノ土地ノ区画及ビ地番ヲ明確ニスルモノナルコトヲ要ス」(以下「法17条地図」という。)と規定されていることによるものです。この条文は昭和35年の不動産登記法の一部改正により新たに規定されたものです。
それまではいわゆる公図、切図と呼ばれていた旧土地台帳附属地図が利用されていました。
ところが、この法17条地図の作製には現地調査、測量等に膨大な予算と日数を要しますので、法で定められたからといってすぐには法17条地図は作製されず、法17条地図が作製されるまで、依然として旧土地台帳附属地図を利用しているのが現状です。