抵当権は後順位抵当権者や一般債権者等利害関係のある第三者が多々生ずることが多いですので、抵当権によって担保される債権の範囲を限定しないと第三者の利益が不当に害される可能性があります。そこで、次のとおり範囲を調整しています。
イ
担保される元本・利息・その他定期金等の範囲は、当事者間では設定契約によりますが、第三者に対して優先弁済権を主張しうる範囲はすべて登記簿の記載によります。従って、請求元本債権が登記簿の元本債権より多い場合、その超過額については優先弁済権を主張できません。
また、利息・損害金の約束をしていても登記されていなければ利息・損害金について優先弁済権を主張できません。もっとも損害金が法定利率の場合、利息について約定利率が登記されている場合は、損害金の登記がなくても第三者に対して主張することができます。
ロ
「利息其他ノ定期金ヲ請求スル権利」は「其満期ト為リタル最後ノ二年分」に限って抵当権を実行することができます。他に競合する債権者がいなければ利息・損害金全額について抵当権を実行することができます。最後の二年分の起算日は配当実施日を起算日とするのが実務の取り扱いです。
ハ
抵当権実行による執行費用は債務者の負担と定められていますので競売手続きが完了した時、執行裁判所は配当時において売却代金から抵当権者に交付されることになりますので、執行費用は抵当権によって担保されているといえます。