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No.23 根抵当権について

第1巻第23号≪通巻23号≫
2003年 秋号
根抵当権について
 今回は担保物件のうち最も利用されている根抵当権について述べます。
 同一当事者間において日々多数の債権が長期にわたって発生する場合において、個々の債権が発生するたびにその債権を担保するための抵当権を設定していたのでは、煩雑で、また優先弁済権の順位の確保が困難にもなるので、明治以来取引界で慣行として行われていたものを、明治34年の大審院(現最高裁)の判例でその有効性が認められ、以降、根抵当は、銀行と取引先、商社と取引先等の間で、反復継続して発生する多数の債権を一定の極度額を限度として個々の債権を一括して担保する特殊な抵当制度として、発達、利用されてきたものを、昭和46年の民法の一部改正で昭和47年4月1日から施行されています。この規定は、抵当権の次に根抵当権として位置付けられています。根抵当権も一種の抵当権です。
 根抵当権は、不特定の債権を担保するために設定されるもので、普通の抵当権を設定するには、その前提として担保すべき特定の債権(例えば、年月日金銭消費貸借)の存在が必要ですが、根抵当権では設定時に担保すべき債権が最終的に決まっていなく不特定なものが特徴です。しかし、そうは言っても取引の終了等によって最終の債権が確定すれば、根抵当権の担保すべき債権はすべて特定の債権となりますので、確定以降は根抵当権も普通抵当権と同じように特定の債権を担保することになります。
 根抵当権は不特定の債権を担保するといっても、無限の債権を担保するのではなく、債権者・債務者間においてあらかじめ定められた一定の範囲に属する債権を、あらかじめ定められた一定の極度額を限度として債権を担保するものです。
 普通抵当権は特定の債権の担保であるため、担保の限度は原則として債権額になりますが、根抵当権は、設定の段階では債権自体が不特定ですので、債権額をもって根抵当権の優先弁済権の限度と定めることができませんので、一定の極度額を定め、その限度において債権を担保することにしているのです。
 根抵当権を設定するには、一般の抵当権設定と同じように土地、建物等その目的となる物件を特定し、その物件の所有者等と債権者との間において設定契約(物権契約)が必要です。この契約は一般の抵当権設定契約と変わりはありませんが、根抵当権が根抵当権であるためには、@担保すべき債権の範囲、A債務者、B極度額を定める必要があります。また、任意に元本確定期日を定めることもできます。
 根抵当権設定契約は、当事者の意思表示のみで効力は生じますが、これを第三者に対抗するためには設定登記をしなければなりません。設定登記をしない根抵当権は当事者間においてのみの効力となります。
 設定登記の申請書の記載事項は@目的物件の表示(土地・建物の表示等)A登記の目的(根抵当権設定)B登記原因及びその日付(平成_年_月_日設定)C担保すべき債権の範囲(銀行取引、平成 年 月 日売買代金等)D極度額E確定期日等を定めた場合はその定めF債務者の表示G根抵当権者の表示H複数の物件を一緒に担保する場合共同担保の旨、その他不動産登記法36条に定める事項等です。
 《 根抵当権の担保すべき不特定の債権の範囲の例 》
 1 特定の継続的取引契約
 @ 平成_年_月_日当座貸越契約
 A 平成_年_月_日電気製品供給契約
 B 平成_年_月_日石油販売特約店契約等
 この契約で担保される債権は、この契約で生じる債権だけであります。
 すなわち、上記日付以降の取引によって生じた債権のみが担保されるということになります。同様の契約であっても上記日付前の債権は担保されません。
 2 一定の種類の取引
 銀行取引、売買取引、消費貸借取引、手形貸付取引、商品供給取引等
 この取引によって担保される債権は全部担保されるということになります。
 例えば、「銀行取引」と定めた場合は、根抵当権者と債務者との間で生じた「銀行取引」による債権は、すでに生じている債権をも含めて全て担保されることになります。
 これが、特定の継続的取引契約と一定の種類の取引との違いになります。
 3 特定の原因に基づいて生ずる債権
 @甲工場の排液による損害賠償債権
 A軽油の引取りによる軽油引取税債権
 4 手形債権、小切手債権
 手形上又は小切手上の請求権は、担保すべき債権の範囲として定められた特定の継続的取引契約あるいは一定の種類の取引の過程で、債権者・債務者間に直接に授受された手形、小切手であれば、それらの取引から生じたものとして、当然に根抵当権の担保すべき債権となります。例えば「銀行取引」という取引の種類を定めた場合債務者と銀行との間において直接に「手形貸付」、「手形割引」が行われた場合、あるいは、債務の弁済の手段として手形、小切手が交付された場合の債務者に対する請求権は、当然にその根抵当権によって担保されますが、債務者が振出し、裏書、又は保証した手形、小切手が第三者間を転々流通して銀行が取得した手形、小切手を回り手形、回り小切手といいます。このような手形、小切手の場合の債務者に対する請求権は、銀行と債務者との間の取引によって生じたものと言えず、当然にその根抵当権によって担保されません。そこで、このような回り手形、回り小切手に基づく債権を根抵当権によって担保させる為には、「銀行取引、手形債権、小切手債権」というように債権の範囲を定めなければなりません。
 これは、このような回り手形、回り小切手の請求権を被担保債権とすることを無制限に認めると、他の一般債権者を害するなどの弊害を生じるおそれがありますので一定の制限措置が講じられています。
 次号は根抵当権の効力、根抵当権の変更について述べます。
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