《 免責的債務引受 》
この契約は債権者と債務者甲(旧)と債務者乙(新)の契約で、甲の一切の債務を免除して債務者乙(新)が甲の債務を引受け、今後の債務の弁済は乙がすることになり、甲は債務からのがれる契約です。
利用例は、所有者甲が抵当権(債務者甲)付土地、建物を乙に売却し、債務者が入れ替わる時とか、親族間で債務者が交代するときに利用されます。
《
重畳的(添加的)債務引受 》
この契約は債権者と現債務者に新たに加わる債務者が連帯債務者として加入し、現債務者と新債務者が連帯債務者として債務を弁済することになります。
利用例は、所有者甲(物上保証人)が債務者Aと共に連帯債務者として加入する場合とか、息子の債務を父親が連帯債務者になるとか、特に親族間での加入に利用されます。
一般的な契約の当事者は抵当権者と債務者、連帯債務者の3名の契約になります。
根抵当権の場合は普通抵当権と違って、債務者を交代的に変更すると旧債務者の債務はその根抵当権では担保されません。
たとえば債務者甲から債務者を変更して債務者乙にした場合、債務者甲の債務はその根抵当権で担保されなくなり、無担保債権として残ることになり債権の回収が難しくなります。債務者の変更の結果、以後は同じ債権の範囲で乙の債務を担保することになります。
債権の範囲が違えば債権の範囲の変更も必要になります。
なお、旧債務者の債務を担保するためには債権の範囲の変更が必要になります。債権者が銀行の場合であれば、変更後の債権の範囲は「銀行取引、手形債権、小切手債権、平成_年_月_日債務引受(旧債務者甲)にかかる債権」となります。
債務者を追加して、債務者が2名となった場合の債務は、登記されている債権の範囲の中でそれぞれの債務を担保することになり、連帯債務ということにはなりません。従って、根抵当権の場合の債務者の表示に連帯債務者はないということです。
例えば、極度額が「1千万円」、債権の範囲が「銀行取引、手形債権、小切手債権」で債務者甲、乙であれば甲の債務「1千万円」を担保し、乙の債務「0」ということもあるということです。
また、甲の債務「5百万円」乙の債務「5百万円」を担保することもできます。
要するに、1千万円の範囲内でそれぞれの債務を担保するということです。また、それぞれについて債権の範囲を定めることもできます。